コード王道進行(j-popによくある)を、ダイアトニックテンションでリッチ&ジャジーに
| 更新: 2024/02/16 | 1947文字
今回は、管理人が曲アレンジお仕事で使ってみた和音のアイデアをご紹介します。ご希望がジャジーなサウンドだった、かつ、ダイアトニック王道進行的なコードが指定されていたので、 それをコード進行の基本設計を変えずに、雰囲気をガラッと変えてみました。手法はダイアトニックテンションです。さっそく、どんな響きか確認していきましょう。
目次
王道進行とはどんなコード進行?
正式な音楽理論用語というわかりません。ネット上などでは盛んに使われている概念で、 (いろいろなバリエーションがあるとはいえ)一般的には次のようなコード進行をさすことが多いようです。海外のwikiで調査したら『royal road progression』や『小悪魔コード進行』といった呼び名も。
で、(個人的見解も含まれますが・・・)以下のような特徴があります。
■J-POPやユーロビートなどでよく使われる
■サブドミナントから始まってマイナーへ解決が切なげ
■それゆえ泣かせるメロディにはよくハマる
■多用されすぎて食傷気味
IV△7–V7–iii7–vi progression(英語版wiki)
https://en.wikipedia.org/wiki/IV△7–V7–iii7–vi_progression
ダイアトニックテンションとは?(例:Cメジャーキー)
今回つかった手法は『ダイアトニックテンション』。ダイアトニックは『調性内の(cキーならドレミファソラシ)』、 テンションは『高次構成音(Cメジャーセブンのドミソシに対し9度のレや13度のラ)』 という意味です。テンションもいろいろありますが、今回はcキーで弾いたら白鍵盤だけですむようにダイアトニックにしました。 どのように和音を拡張できるかは、以下の表をご覧ください。
白鍵盤でないものは記載していませんが、もちろん『Em7で9のF#を弾く』というのもかっこよく、効果的です。 度数については、『そのコードのルートからの高さ』で表されています。(キーのトニックからではない)
テンションのボイシング例と、王道進行をダイアトニックテンションでリッチ&ジャジーにした例
テンション例(FM7→G7→Em7→Am7)
以下伴奏のボイシング例です。キーによってはこれをそのまま移調すると、濁って重くなるので、必ずこのボイシングにはなりません。 また、4声で固めてクラスターになり、重い部分は省いて3声です。サンプル曲では一部の音を削ったり、リズムに乗せて刻んだり、右手でフレーズのように入れたりしています。
Fメジャーセブン
Gドミナントセブンス
Eマイナーセブン
Aマイナーセブン (*9度の音もひっくるめて、『m9マイナーナイン』という表記もありますが、当webサイトでは、プギャーっぽく見えるため、この表記は使用していません。)
右手パートについては、なるべく白鍵盤のみ、テンションを通るようフレーズを組み立てましたが、 一部黒鍵を引っ掛ける装飾音などが含まれます。
王道進行で作った、ジャジーな曲の例
今回のサウンドサンプルでは、 和音伴奏してたらやけに雰囲気がアダルトになってたので、ちょっとjazz的なパターンに。 ピアノで和音と、(作ったのはdawのソフトシンセだけど)ソロ回しっぽいフレーズを入れてみました。 もちろんコード進行はCキーのFM7→G7→Em7→Am7です。
■オーディオデータJ-POP的な親しみやすいよさを残しつつも、テンションコードやリズムのおかげで、アダルトでジャジーな感じになったかと思います。
あとがき・まとめ
- jpopでよく使われる、CキーでのFM7→G7→Em7→Am7進行(王道・小悪魔)
- この進行でもダイアトニックテンションを用いて、ジャジーな曲にできる
まとめるとこんなところでしょうか。この和音進行はいろいろなところでつかわれている定番ですが、ダイアトニックテンションで、ちょっと外した感じにできたと思います。
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