【リズムアレンジ】パーセント指定クオンタイズで、微妙なノリやハネ方を出す方法

今回の音楽制作コラムでは、ダンス系などのリズムトラック作りに効果を発揮する、『パーセント指定クオンタイズによるリズムトラックのスイング、微妙なノリやハネ方エディット』という手法をご紹介します。

クオンタイズとは？

コンピュータ用語・英語などでは『量子化』『数値化』という意味があります。dawなど、楽曲制作の環境では、『MIDIやオーディオデータのタイミングのずれ』を、任意のグリッドに揃える操作のことを指しています。グリッドによって『4分音符にそろえる』『８分音符にそろえる』ということができます。

steinberg（キューベースを作っている会社）のサイトにも、公式でヘルプが載っていますので、こちらもご確認ください。

MIDIとオーディオのクオンタイズ（cubaseヘルプ）
https://steinberg.help/

クオンタイズ・エディット前の状態は？

まずは、ノリを変える前の状態を定義します。今回のエディットでは、以下の状態を基本とし、そこからスイングで裏拍の位置を微調整、微妙なノリを作っていきます。また、各種トラックのテンポは、ＢＰＭ１１６です。

スイングなしの、ジャストのノリのリズムトラック

特になにもエディットせず、１６分音符グリッドにそって、単純に打ち込んだ状態です。『打ち込みサウンド特有の、ちょっと硬い感じ』を出すときは、この状態を使用することが多いかと思います。

パーセント指定クオンタイズ＆スイングはどのように？

今回のエディットでは、dawの『パーセント指定クオンタイズ＆スイング』機能を使います（画像はpro toolsですが、他のdawでもできるはず）。

『スイング・クオンタイズで裏拍をそろえるとき、パーセント指定で、微妙な位置に裏拍をそろえる』ことができます。以下それぞれ、パーセント数値を変えて、ノリを変えてみたトラックです。

スイング１００％のリズムトラック

スイング１００％にしてみたトラックです。１６分音符３連きっかりでハネる用になっています。パーカッションなどとあわせて、『楽しい感じ・浮いた感じ』を出したい場合は、特におすすめです。

スイング７５％のリズムトラック

スイング７５％にしてみたトラックです。裏拍位置が、１６分音符３連より微妙に前に出る形になっています。このくらいのテンポでありながら、ファンクなどのトラックにおいても、アッパー感を出すのには良いでしょう。

スイング５０％のリズムトラック

スイング５０％にしてみたトラックです。１６分３連グリッドで記載していますが、『どっちかというと１６きっちりに少し近いノリ・１６分の裏拍を、少し遅らせた』感じになります。『ポップスなどを制作時、あまりリズムが賑やかな感じでなく落ち着いて、しかし、特有のかたさは抜きたい』というときには良いかもしれません。

その他・スイング＆クオンタイズ関連テクニックなど

音源側で、ハネ具合コントロールできるものも

写真はAIR Boomですが、daw上のデータにエディットかけなくても、音源側で、ハネ具合コントロールできるものもあります。当サイト管理人はもっぱらチェック用に使っていて、いい感じのノリを発見した場合、そのパーセントを、midiデータ全体に指定します。

ドラムキットの特定の音色だけ指定してスイングかける

写真のように『ドラムの特定の音色部分だけ選択してかける』ということも可能です。ベロシティ変化などと併用して、『リズムを狂わせない程度に、ほんのわずかにずらす・遅らせる』などで、生楽器により近い状態にできるでしょう。（個人的には、裏キックなどを１０～ｍｓ遅らせてもリアルかな、と思いました。やってみた感じ。）

あとがき・まとめ

まとめると、こんなところでしょうか。 余談ですが、以前、ここに紹介されるエディット（ベロシティやタイミングのランダマイズとパーセント指定クオンタイズで微妙にハネさせる）を、楽曲に対しておこなったところ、依頼主さまよりは『ジャストノリのものより踊りやすくなった』というご意見もいただきました（用途がスクール・ダンス教材のため）。

打ち込みだけど、リズムトラック（またはオケ全体）のノリに、ちょっと変化をつけたい場合は、ぜひお試しください。